こんにちは、UDATSU社長の宮島です。
コロナ騒ぎもそろそろ2年。不動産マーケットでは住宅部門、さらにボクたちの関わる東京都心部の中古マンションマーケットは価格がかなりの勢いで上昇中、バブルだという人も少なくありません。
一昨年3月に最初に出された緊急事態宣言下では、どの不動産販売会社も3か月間見学者ゼロ、売上ほぼゼロ、このままいけば倒れかねない状態が6月以降一転、たまった需要が爆発して年間通してほぼ変わらずまで売上を取り戻しました。大企業、IT、通信業界をはじめ幅広く在宅ワークが行き渡り、自分の家の空間、設備を充実させたいニーズ、更なる超低金利(0.2%台も)、ローン減税の拡充、新築マンションの供給急減などから中古マンションの需要が拡大し、マーケットに売り出されている在庫がどんどん減って、都心部は価格が約月1%、24カ月で平均約25%も価格が上がりました。コロナ前に5,000万円だった物件が今は6,000万円を超えてどんどん売れてゆき、在庫が減少して価格がさらに上がってゆく循環が継続しています。
令和2年4月には、ウチもこのままでは死ぬかも?という防衛本能から、各公的金融機関で運転資金をかなり余計に調達しました。緊急時であったことから低金利で元利金の支払いも2年程度据え置き、資金繰りを支えてくれましたが、いよいよ今年から元利金の支払いが始まります。借りたお金に働いてもらう先のひとつとして、不動産の賃貸運営するための物件を昨年より探しています。
レインズ(業界内物件情報サイト)で都心部の中古マンション売り出し物件を満遍なく眺めてみると、あることに気づきます。
40㎡以上の物件の急騰する価格に比べて、30㎡未満、ワンルームや1DKの物件だけが、価格が2年前と変わっていない、上がっていない、だから今となってはやたらに安い、ということ。
これは、居住目的にかなった面積があり、住宅ローンがつく物件を欲しい人が在庫以上にたくさんいる半面、ローンがつきずらいワンルームを欲しい人があまりいないということ。
ボクは昔から天邪鬼、みんながやっていないことの中からやりたいことを探したい性分で、起業してからもみんなが買わないモノを買う、みんながまだ気づいていない割安なものにいち早く手をつける、といった逆張り派なんです。証券金融の世界でいえば、割高な株を空売りして同時に、割安な株買い建てる裁定取引(アービトラージ)と同じような系統や趣向なのかもしれません。
そんな見方から、超割安な都心の中古ワンルームマンションにアービトラージ投資を検討する為にマーケットを調べてみました。
どのくらい安いのか、どうしてここまで安くなったか、昨今の新築ワンルームマンション事情について
【中古ワンルームと新築ワンルームの比較】
どのくらい中古ワンルームが安いかといえば、例えば、ファミリータイプ、ワンルームが混在するマンションがあったとします。それぞれの今の市場価格は、ファミリータイプが専有面積当たりの坪単価@300万円とすれば、同じ建物内のワンルームは@220万円くらいと約30%も安く売りに出ています。これは割安なのに売れない、売りたいから価格を下げる、ここまで下げたら売れた、という着地点がこのあたりの感じなのです。
一方、新築マンションではどうでしょうか。ポータルサイトHOMESに掲載されている現在販売中の高田馬場駅徒歩3分の新築マンションは、同一建物内にファミリータイプ、ワンルームがあるのでこの設定価格を比較して見てみます。
25.67㎡のワンルームが専有坪単価@511万円に対して、65.29㎡ファミリータイプは専有坪単価@444万円で、ワンルームの坪単価が約15%高く設定されています。部屋の位置関係は検証していませんが、最安値は下層階、最高値は上層階であることを考慮すればその価格差はもう少し大きいかもしれません。
これは、鉄筋コンクリートの建物の建築原価に応じて新築マンションの価格は設定されるものなのです。
では、どうしてワンルームの方が原価が高くなるかといえば、
建物を新築するとき、上の図のように各階延べ床面積が150㎡、その部屋数を25㎡ワンルーム×6戸にするか、75㎡×2戸にするかをそれぞれ比較すると、コストの高い設備機器(浴室、キッチン、トイレ、洗面)やその配管設備工事費、躯体(戸境壁)、アルミサッシ、玄関ドアなど高原価率の数が多いワンルームは全体の原価が高くなり、それらが2セットで済むファミリータイプはもちろん原価安になります。しかし、原価が高いから販売価格が高い、という供給者の理屈が必ずしも市場価格とはなりません。特に中古マーケットではあくまでも需要供給のバランスで価格は決まっていくのです。
【中古マーケットでワンルームがファミリータイプより安い理由】
原価が高く新築分譲価格も高い投資対象のワンルームがここまで安くなっているのは、
・ 「かぼちゃの馬車」事件(平成31年)以来、投資不動産は悪、という世間の空気
・ 税制の恩恵なし、低金利の恩恵少なし、融資を出す金融機関さえきわめて少ない
・ バブル以前の建築は特に雑な企画と設備で、それが古くなり陳腐化している
この中でも融資が受けずらいことが最も大きな価格低迷の原因です。かぼちゃの馬車事件で投資用ローンを出していたスルガ銀行が新規融資業務停止命令を受けたことで、管轄官庁からの圧力に他の金融機関もビビッて不動産投資への新規融資を一斉に見合わせた状況が今も続いています。この事件はシェアハウスデベロッパーがゼネコンへ発注した建築代金の50%ものキックバックを受けた超割高の新築物件に、スルガ銀行がローンを提供、物件価値を自ら見極める目をもたない一般投資家を買主とし、不動産業者が少ない頭金で購入できるように、顧客の収入証明を偽造したり、価格を水増しした契約書を偽造したりしていた犯罪行為でした。これをきっかけに不動産投資は悪だ、という空気になりましたがボクから見たら、「またか」という印象です。今までも何十年にもわたって不動産業界ではやっては怒られ、ほとぼり冷めたらまたやる、これを繰り返してきています。
しかし、不動産に投資することは、「悪」ではありません。
投資用不動産を扱う業者に、悪い人がけっこうな数いる、というだけのこと。
いままでも、おそらくこれからもマーケットは、業者も管轄官庁も、金融機関も、喉元すぎればなんとやら。
だからこそボクは、今は人気ないけど、ポテンシャルがある、割安に放置されたワンルームを見つけると、「いじめられてボロボロになって、磨けば光るのにこんな安い価格で誰にも拾われないなんてかわいそう!」と、放っておけない気持ちになってしまうのです。今はメジャーなバンドだけど、まだ全然売れていなかった時からずっとファンだった、みたいな感覚に似ているかもしれません。
この現象は大きな流れ(潮流)なのか? それとも一時的な現象(さざ波)なのか?
本来価値に比べて極端に割安なのに、それでも見向きもされないこの状態は、風が止んだら消えてなくなるさざ波の影響であるのならば、やがてあるべき価値へ収斂されていく、と考えています。
【都心部、人気エリアほどワンルームの新築は建てられない】
平成20年から東京では各区のワンルーム建築規制が本格化し、今では23すべての区がワンルーム建築を規制しています(規制の強弱はあり)。収入レベルが高くかつ長期間定住するファミリー世帯や企業を誘致する方がより多くの財源を確保できること、地域活動に協力的的ではない単身世帯をこれ以上むやみに増やしたくないことがその理由のようです。
今は23区すべてで面積25㎡以下の部屋をつくることは許可されません。そればかりか、豊島区では狭小住戸税1戸50万円とか、文京区は一定の比率で40㎡以上、千代田区などは50㎡以上を作らせる指導要領という名の強制指導が行われています。
こういった背景から、令和2年に新規発売された首都圏6,000戸のうち、比較的規制のゆるい台東、新宿、墨田、大田、江東区と川崎市での供給が全体の半数以上を占めていて、都心に近い単身者に人気のエリアでは供給できず、新築ワンルームは23区外へ、東京都外へ移行しているトレンドです。
【じゃあ、どうする?】
【自らの努力】 築30年以上、25㎡未満のワンルームのほとんどは、3点ユニットバス、料理がしずらいミニキッチンなどローコストな水回り設備が不人気の間取りで、現代のひとり暮らしにフィットしない商品になってしまっています。これをユーザー目線のリノベーションで解消するだけで賃料が上がり、不動産価値(売却想定価格)を上げることができます。
【他力本願】 さらに、喉元をすぎて「かぼちゃの馬車」って何だったっけ?と世間がなるまで、5年?10年?かはわかりませんが、融資する金融機関は今よりは出てくるはずです。そうなれば少なくともファミリータイプと同等の坪単価に近づくように価格は回復するはずです。つまり、今は大体30%‐45%原価に対する逆ザヤ状態で割安なワンルームの価格が45%程度回復する可能性が十分あるのではないか、と考えています。(あくまで個人的見解です)
こんな理解から、本来価値に対して割安すぎると判断したワンルームマンションをコツコツ購入してゆくことにしました。
※この記事は不動産投資の勧誘を目的としたものではありません。 最終的な投資決定はご自身の判断でなさるようにお願いいたします。当サイトの閲覧はご自身の自己責任でなされるものであり、当社は本情報に基づいて被ったいかなる損害についても一切責任を負いません。
と、証券会社のようなそれらしい注釈をつけますが、次回、令和3年後半で買ったものの中からいくつかの物件バリュエーション(評価と見方)と具体的なバリューアッププランをご紹介します。