くい打ち偽装 2(不動産建設業界)

December 07, 2015

こんにちは、宮島です。メディアも鮮度が落ちたと判断したのか、杭打ち事件の報道も少なくなったように見えます。
旭化成の重役が、夜な夜な「わが人生にクイはなし」をカラオケで熱唱している、などという噂をボクは決して信じません。三井住友建設と旭化成建材が責任の押し付け合いをし、旭化成建材は、横浜物件の一担当者に責任を押しつけようとしており、その人の適正や性格までもをも中傷する、という泥仕合をしている。本当にとんでもないことだ、と思います。本来、元受の三井住友建設が全責任を負い、裏事情はそっちでやってもらう、と言うのが筋であり、一担当者に対しする責任がどうこうというのは、ありえないことだと思います。

このような事件が起こると、わずか10年前の2005年におこった姉歯耐震偽装事件です。建物を新築する時の構造計算書をごまかして申請を通して建築し、デベロッパーのヒューザーがそのマンションを分譲しました。姉歯建築士が小さな事務所で力が弱かったこ、カツラであったことや、ヒューザーの小島社長が記者会見での態度が傲慢で、人相が悪かったことから、メディアは徹底的かつヒステリックにバッシングしました。今、旭化成の杭打ち物件リストが公開されているのと同じように姉歯物件リストが公表されました。ビジネスホテル東横インのある物件が、法令上傷害者用駐車場として付置したものを来客用駐車場に使用していたことを取り上げられ、東横インの社長が、「姉歯といっしょにするな!ウチは40キロ道路を45キロ走行しているようなもの」と開き直り、バッシングされていました。つまり少しでもかかわった人がミソもクソもいっしょにして叩かれたわけですね。 特に姉歯建築士は、愛人に外車をプレゼントとか、豪邸に住み豪遊とか、奥様はホスト通い、などのねつ造とまったくのウソ記事によって、ついに奥様が自殺においこまれてしまいました。
ヒューザーは入居者への莫大な補償金額に耐えきれず、すぐに倒産してしまいましたが、今回は三井不動産だけに、損害を補償してくれるという姿勢は見せています。 今回の杭うち偽装事件では、感情的なメディアのバッシングで自殺者出すことなく、役所が規制を大きく強化してがんじがらめになることなく、業界の構造的な問題が明らかになるといいと思います。

10年前の姉歯事件でも住宅業界の構造的な問題によって、ユーザーの信頼を大きく損ったわけです。、その結果、全国の120-130万戸住宅着工戸数が、その後、建築確認申請(新しく建物を建てる際の役所への申し出手続き)の審査に膨大な時間がかかるようになったことをきっかけに、次年30%急減、更に減少が止まらず、今では88万戸まで減りました。あるシンクタンクでは、今後2030年までには56万戸まで減るのが必然であるという予測もあります。 つまり、元々130万戸も住宅需要がないのに、業界が自分達の仕事をなくしたくないから、無理やり家を建てていた、そのことに対して元の鞘に収まろうとする力が、耐震偽装やくい打ち偽装の不祥事をきっかけにより確固とした流れになっていくと思います。建設不動産業界の談合ごまかし体質と言うのはそう簡単に治るものではありません。今は喉元を過ぎるのをじっと我慢する時期である、と考えている人も少なくないのではないでしょうか。

それを治す方法としてこんな風になったらいいな、と思います。ボクたち消費者(業界の片隅に身をおいていながら図々しいですが・・・)が、もう建築屋が作ったものは信用しない! 建物を建てるのは自ら専門家を起用し、指図できるくらい勉強し、本当に長く使えるいいものであれば、十分な投資、お金をかけることは惜しまない! その代り、土地代は、場所で節約して、不便でもいいから地方、郊外、田舎で家を建てる。
本質を見極める目を養い、消費者が勉強し始めたとしたら、住宅マーケットは一変します。工期が短く、コストの安い、新しいだけの家は全然売れなくなり、その代り長く使える本当に良いものは売れようになります。 業者はもうどうしようもないのは、消費者がアホだからこうなるんだ、と言うつもりはまったくありません。 彼らは、利益を上げたいのだから、売れないなら作らないし、売れるものを作りたがります。当たり前ですが・・・ 更にそのためには、ボクたちは不便な場所に住んでも、生活がなりたつ働き方を身につけなければできませんが。。 何処に住むかという場所の問題と、勤務する会社の立地の問題が解決できる社会にしてゆきたいものです。