こんにちは。現場監督の大久保です。UDATSUは、すでにある古い建物を再生する不動産投資会社です。いわば物の寿命を物質的にも資産的にも回復させる仕事をしています。物の寿命って何でしょうか。そんなことを考えた時に、以前バイトしていた家具屋の話しを思い出したので、今日はそれを書きます。
以前、夏の合間だけ北欧ヴィンテージ家具屋で働いていたことがあります。その店にアメリカ製ジンガーのアンティークミシンが置かれていました。50年前に製造されたの足踏み式のミシンです。ドイツで使用され、デンマークに渡り、その後コンテナに乗って日本にたどり着いたそうです。価格は約10万円。
アンティークな品物としてはとても良いものでしたが、2、3年売れてない物だったのでこれ売れるのかな?と疑問に思っていました。足踏みの手動ミシンですし、価格も高いし。なにより需要があるのかと。
ある日ご年配の女性と、妊娠中でお腹の大きな娘さんがたまたま近くを通りかかったということで、店内を見ていました。おもむろにミシンを見て、これ幾らですか?と聞いてきたので、金額を言うと、明日お金を持ってくるので、取り置きしてくださいとのこと。売れる時は売れる、需要が少ない商品でも必要と思う人はいるんだと。その時は思っていました。
翌日、ミシン台の手入れを終えて待っていると、昨日の方が代金を払いに来ました。その時にご年配の女性の方が嬉しそうに、「欲しかった足踏みミシンを買うって決めて、お店から家に帰っている途中に娘に陣痛が来て、その日のうちに孫が産まれちゃったのよ。なんかこのミシンに運命を感じちゃったわ。」と笑って話してくれました。
50年前に国外で製造されたミシンが、たまたま孫が生まれると同時に購入され、おそらくその孫が大きくなっても、「このミシンはあなたが生まれたときに買ったのよ」と言われながら、20年30年使われるのでは無いかと思うと感慨深いものを感じました。寿命が延びたこのミシンはとても運がよかった。
話は変わりますが、ウダツの物件も多くが20年、30年使われていた物件です。それをさらに20年、30年使ってもらえる物にするにはどうしたらいいか。そんな課題を考えながら、明日も現場監督業務に励みたいと思います。