本来の価値より割高か、割安か(不動産)

July 28, 2014

こんにちは、宮島です。UDATSUは建築や設計関係の会社ではなく、中古不動産へ投資する会社です。立地や建物の特性に見合った商品と、そこに住む人たちの予算や趣向がミスマッチにならない、ちょうどいいリノベーションを不動産に加え、 最適なパフォーマンスを発揮させるノウハウが、強みとなることを目標に事業をやっています。そもそも、中古不動産への投資をすることにしたのは、日本は新築至上主義であり、古い建物が不当に低い評価がなされていて、割安に放置されている不動産マーケットだからです。
UDATSUの運営指針のひとつに「逆バリしかやらない」というのがあります。逆バリの解釈は、マーケットは常にどちらかに行きすぎて、その後元のさやに収斂されてゆくものであるから、その時点で、みんながいいと言っていること、時流に乗っていると言われていることはやらないことにしよう。人気がないもの、ネガティブな評価がされている対象なのに、本来は価値があるかも、と思えるものに取り組もう、ということです。

中古不動産マーケットで、新築時3000万円で建てられた木造住宅が、20年経過すると300万円以下の評価になるのは、中古不動産に融資する銀行の審査基準であり、不動産屋の売却価格査定マニュアルであり、国の法定耐用年数であることがその原因です。そこことにより、デベロッパーの新築供給主義やユーザーの新築至上主義というマーケットが形作られてきました。近い将来、スクラップアンドビルドをやめて、ストックの活用が叫ばれていることは必然であるし、何としてでもそうしなければならない社会問題である、と本当に思います。
現時点では、土地代金+建築コスト+デベロッパー利益経費+消費税の新築建物よりも、本来価値のあるものを割安に入手できる中古不動産への投資が、理にかなっていると判断しています。逆にもし、将来日本が中古不動産を買ってリノベーションするスタイルが圧倒的な主流になったという時代が来たら、当社はリノベーション事業から撤退するかもしれません。

時代によっては、中古不動産が必ず割安である、とならないこともあります。2002-2006年頃、新築マンションマーケットはどんな様子だったでしょうか。
1998-2002年頃の山一証券、日債銀、ゼネコン等上場企業がバタバタ倒産した金融危機の後、土地は持たないほうがいい、バランスシートは軽いほうがいい、リスク資産は持たないほうがいい、と今までの土地や株式などの資産至上主義を、株式市場が全否定していた時代がありました。そのころ上場企業は、遊休土地や一等地の社宅、都内の工場、運動場ばかりか、本社ビルまであらゆる資産を、株価が暴落し倒産を避けるため、売却しまくって、借入金を返済していました。
その数年後に、大手デベロッパーは、割安に取得した土地に、仮に赤字になっても目先の仕事がほしかったゼネコンを起用し、今の半値くらいの建設コストでタワーマンションを建設し始めました。当時は、個人も将来の不安から、住宅を買うなど愚の骨頂、そんな大きなリスクを負う人はほとんどいなかったと言っていいと思います。そんなご時世の中、都内のよい立地であるのにもかかわらず、大規模な新築マンションが、大バーゲンセールで販売されていました。今の価格がバーゲンセールか否か、そのさなかにいるときには判断が容易ではありませんが。。販売期間の長期化が、価格の下落を意味するマーケットで、1棟400~800住戸を一定期間に完売させなければいけなかった、という事情もあったはずです。
芝浦エリアでは、49階建てのコンシェルジュのいるタワーマンションで、低層階の北向き住戸が専有坪単価185-220万円、60㎡の2LDKが約3600万円で購入することが出来たのです。1998-2005年頃の不況時に、新築マンションを買ったユーザーの多くは、今、それを売却すると、買った価格を大きく上回って売れます。

2014年の今。アベノミクスで不動産価格が上がり、新築マンションもよく売れています。デベロッパーは、競ってよい立地の土地を高く買い、建築コストは震災特需と景気回復の相乗効果で、10年前の2倍に跳ね上がっています。デベロッパーは今、あまりに高い原価の供給予定物件を、さすがに高すぎて売れないかも、とビクビクしながら様子をみています。つまり、今後出てくる新築マンションはすごく割高な価格であることがわかっています。
さあ、これからの数年間、どうしますか?
プロだからそんなことが出来るんだ、という意見もあるかもしれませんが、そうではありません。プロ(不動産業に従事し、生活している人)でも、投資感覚がなければできない人が多いし、プロでなくてもそういった関心が高く、実際にできている人を大勢知っています。証券会社に勤務している人が、みんな株式投資で利益をあげられるかというと、上手な人もいれば、企業分析はできても投資判断はうまくなく、損ばかりして投資をしない人もけっこういるのではないでしょうか。
つまり、割安か割高か見極めること、決断することが「必要であり、楽しいことだ」という意識や好奇心が高いか、低いか、ということなのではないでしょうか。

みなさまの住宅購入は、儲けるために買ったり、儲かるから売る、というものではないことは理解できますし、買う本人が満足していればそれでいい、とも思います。しかし、これからは、「家は一生に一度の買い物」「賃貸アパートから分譲マンション、いずれは夢の一戸建て」という右肩上がりの今までの時代とは違います。右肩下がりの日本であるからこそ、家は終の住処ではなく、転勤、転職、家族構成や、親の介護などライフスタイルの変化が目の前に来た時に、家を貸したり、売ったりする場面に遭遇した時でも、ちゃんと採算のあう適切な水準で家を取得する方法が、今は中古不動産をリノベーションする、ということなのかもしれません。投資対象として、金融資産として割高か、割安かの価値を見極めて手に入れる側面がこれからは一層重要になってくるのではないでしょうか。
みなさま、これから販売される割高な新築マンションを買ってはいけません!さあ、今こそ中古マンションを買って、UDATSUでリノベーションを一緒にやりましょう!!(宣伝かっ!)