リノベーションの定義 その2(リノベーション)

April 28, 2014

代表の宮島です。様々なメディア、不動産、建築業界のその立場や、事情に合わせて使われている「リノベーション」の意味や定義について、UDATSUとして考えてみます。まず、リノベーションという言葉について、広義の解説を見てみます。

国土交通省によると、リフォームとリノベーションがこう定義されています。

  • リフォーム=新築時の目論みに近づく様に復元する(修繕)
  • リノベーション=新築時の目論見とは違う次元に改修する(改修)

ウィキペディアでは、

  • リノベーション(renovation)とは、既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりすること。←全面的にリフォームしただけではなく、プラスアルファの要素が加えられたものがリノベーションである。例えば、低稼働のオフィスビルを住宅に用途変更し、蘇らせたというような工事も含まれて説明されています。
  1. 不動産・マンション再生販売プレーヤーの解釈を見てみます。
  2. ウチもそうですが、一旦不動産を買い取ってそれに各社がリノベーションした商品を販売するという立場でのリノベーションの定義説明です。※主にHP上に公開された各社の入手可能な情報であり、公式な定義であるかは不明です。
    某マンション買取り再販売業者(上場)
    古いものをリノベーション(再生)して、新しい価値を生み出す、これからの時代の考え方。当社が行う内装は、中古マンションにかかわる不安を取り除き、新しい価値を付加することをコンセプトにしています。「リノベーション(再生)」をキーワードに付加価値を高める内装工事を施すことで、中古マンションのマイナスとなっている古さ・耐久性等からくる不安を払拭、顧客満足度の高い商品を提供します。←リノベは再生することであり、顧客が中古物件の古さを不安に感じているため、それを取り除き再生することが、顧客満足である、と説明されています。
    某マンション買取り再販売業者(未上場)
    当社が展開するリノベーション住宅は、独自の厳しい審査基準と管理体制のもと新築以上のクオリティを実現します。またメーカーとの直接取引など独自の調達システムで、確かな品質を確保しながらコストダウンに取り組んでいます。理想の住宅をお届けするために、設計担当が自分でも「住みたい」と思える住宅をデザインします。←品質管理、大量発注によるコストダウンにメリットがあり、それに設計担当者の「思い」が加わることで新築以上のクオリティになるのがリノベーションであると説明されています。

  3. 工事請負、建築設計プレーヤーの解釈を見てみます。

各社は、ユーザーの所有している物件を、そのライフスタイルに合わせたデザイン、プランニングにより、オンリーワンの理想の住まいを実現してくれます。
リノベ界の大御所ブルースタジオは、リノベーションを、完成当時の価値を超える、新しい価値や魅力を作り出すこと、と定義しています。リフォームは、re(再び)–form(形)/ だから形を整え直す事、リノベ-ションはre(再び) – inovation(革新的)/ だから形を超えて住み手のライフスタイルを実現させる。それが新しい価値を生み出す事←新築物件はデベロッパーの土地仕入れができたところに供給されるもの。中古住宅はどの町でも選べる、ユーザーのライフスタイルに合わせて、ロケーション選択から、間取り等すべてを自由に編集することができるのが、リノベーションの楽しさである、と説明しています。
MUJIの家にすごく力を入れている、良品計画は、リノベーション=理想の住まいを手に入れられる合理的な方法、と定義しています。一戸建てもステキがし、新築マンションも快適そう、お金に不自由しなければ希望はすんなりかなうのでしょうが、少ない資金でなるべく素敵な暮らしをしていきたいと考えたとき、中古物件をリノベーションして住む、という選択肢もあるのではないでしょうか。←耐久性のある躯体(建物の骨格)を「スケルトン」、後から変えられる内装(壁や間取り)を「インフィル」、スケルトンを大切に長く使い、インフィルをユーザーのライフスタイルに合わせて作り変えれば、「中古物件」は、魅力的な自分らしい住まいに生まれ変わる大きな可能性を秘めている、としています。
これらをまとめて、比較し考えてみます。

①不動産・マンション再生販売プレーヤーは、在庫物件原価と販売価格の差額が各社の利益です。新築マンションに近づけたい、超えたい(どのように超えるのかは明らかでない)という、大量発注によるローコストや、中古物件なのに、最新設備に更新されている事がセールスポイントです。新築マンションと同様に、一旦買い取って在庫にした商品を不特定多数の顧客へ向けて販売することから、国土交通省の定義するリノベーション(新築時の目論見とは違う次元に改修)はなされておらず、汎用性の高い、ありふれた普通のプランであることが特徴です。

②工事請負、建築設計プレーヤーは企画料、設計料、現場管理費用、建材や設備の販売差益がプレーヤーの利益です。工事を自ら行わない場合、その下請けの施工店の利益が総工事費に含まれることになります。理想の住まい、暮らしが中古住宅を利用することで、安く手に入ることが出来ます。それにユーザーの事情や趣向に合わせた設計やデザインをすることで夢が実現できる事です。日当たりのよい窓際で入浴したい!LDKを思いっきり広くして、そのど真ん中に大きなキッチンを!一番長い壁一面を天井まで本棚でいっぱいにしたい!などなど、その人がずっと思いこがれていた夢がかなう可能性があるのです。
例えば800万円のリノベーション費用をかけて夢を実現させるためには、合計3500万円の予算だと、世田谷区で60㎡、築後30年の中古マンションを2500万円で購入することが前提条件になります。物件探しから始めて、購入するときには、その物件の耐久性、理想のリノベが実現可能な構造体や設備があるか、また理想のプランを施工するには物件の状況によって大きく手間や費用が変わってくることで、800万円では収まらないかもしれません。そこで、最近は物件探しからサポートしてくれる「ワンストップリノベ」というサービスも多数登場してきています。

それぞれのプレーヤーのリノベーションの定義の共通点には、日本の住宅ストックの老朽化という社会問題への問題解決の意識があります。1970-80年代以降民間のデベロッパーにより、たくさん建てられた住宅がストックとして積み上げられ、それらが老朽化してきていて、これを何とかしなければいけないということ。2007年をピークに人口は減りはじめており、建てられた住宅は人口の減少とともに、余りつづけています。
次回、UDATSUとして、どのように「リノベーション」という言葉を使うべきか。また、リノベーションにどのように取り組んでゆくか、考えをまとめて、ご説明したいと思います。